『CLANNAD〜AFTER〜』アニメ日記 2

第9回『坂道の途中』 2008/11/28放送

 卒業式。藤林姉妹は保母を目指し、は看護士を目指して進学し、春原は地元で就職、ことみはアメリカへ留学とそれぞれの道へ進んでいきます。
 しかし、これは第2期ではすっかりモブ的な存在となっていたとはいえ、藤林姉妹ことみが、そして第1期を変わらずに笑いの核として存在していた春原が、実質上『Clannad』の舞台から去っていくということでもあるのです。もっとも、は数年後また物語の中に加わって来るのですが...
 そういえば、ほんのちょっぴりだけれど『雪村ストーリー』もやってくれましたね。
 夢を失い学校の中で孤立していた朋也春原を引き合わせたのが雪村先生であり、二人はこの出会いがあったからこそ中退する事もなく無事に卒業できたのです。
 それを一番良くわかっていたのは朋也春原の二人であり、雪村先生の後ろ姿に向かって「ありがとうございました」と頭を下げる場面にはうるっとくるものがありました。
 しかし、残念なのは就職のために黒髪に染めた春原の姿を拝む事ができなかったことです。春原が「モデルになる」と宣言するのはアニメ独自設定だと思うのですが、まさか本当に応募していたとは....とはいえ,春原はお笑いを目指していたらいいセンいってたと思うんですけれどね......たとえば朋也と『それと便座カバー』というコンビを組んでみたりとか....(^^;)。

 一方、朋也は結局就職も進学もせずに古河家に居候したままニート生活へ(^^;)。
 そしては体調を崩してしまい、もう一度3年生からやり直す事になります。
 それにしても、朋也にとってがあれほどまでにも大きな存在になっていたとは... 
 以外のヒロイン達は全員いるし、あの春原だっていつものようにいるというのに、のいない学校生活はあんなにも空虚なものになってしまうんですね。
 が学校に来なくなってから卒業するまでの流れの速さが朋也の空虚感を表しているようです。

 智代が卒業式の際に朋也に対して「渚の面倒をみる」と宣言してくれたのは、実に嬉しい改変ですね。
 原作ゲームではまた3年生をやり直すの孤独ぶりがなんとも心に痛かったのですが、『渚ルート』でも決してとは無縁でなかったはずの智代が、何故孤独な学生生活を送るのバックアップをしなかったのか不思議でならなかったんですよね。
 しかし、今回はこうして智代が宣言してくれたし、ゆきねぇ彼女が2年生だったという設定をすっかり忘れてました(^^;)もいるし、そしてコーラス部の女の子達もいるので、朋也がいないという寂しさはあるにせよ、がゲーム本編のような孤独な学生生活を送らずにすみそうで一安心です。

 ということは、の3度目の高校3年生時代はさらっと流して、早めに本編に入っていくという方向なんでしょうね。

 さて、これでいよいよ『アフターストーリー』が始まるわけですが、これまではどんなシリアスな内容であっても春原というギャグ・メイカーが緩衝剤となって場をなごましてくれていたのですが、その春原が退場したことによって、物語はどんどんシリアスになっていかざるをえません。
 京都アニメーションが今後のシリアスな展開をどのように料理してくれるのか、座して待つ事にしましょう。
 

第10回『始まりの季節』 2008/12/05放送

 朋也自立するの回。いよいよ本当の『人生』が始まる訳ですね。

 卒業しながらも就職もしないダメダメ人間の朋也は、古河家の好意もあって古河ベーカリーで働くことになります。いやぁ、アッキーが真面目に働いている場面って初めて見たなぁ(^^;)
 一方なんとか健康を回復したは3回目の高校3年生活を開始。
 毎日休む事無く登校はしているものの、智代ゆきねぇ、そして仁科さん達コーラス部の女子達とも別々のクラスになってしまい、しかも演劇部も入部希望者が一人もいなかったために廃部となってしまいます。クラスには話す友達もいないようで、結局原作ゲーム通りの孤独な学生背活を送る事になりそうです。
 確かには良い娘なんだだけれど、2歳年上ということで他のクラスメイト達からはどう接すれば良いか困惑しちゃう存在なんでしょうね。あの年頃にとって2歳違いってずいぶんと大きな年の差に感じられるんですよ。そう考えると、前シリーズで「うん、やっぱりお前は良い子だな」との頭をなでていた智代は大物と言わざるをえません。

 モラトリアムな生活といえばカッコがつくけれど、実質上はプーな生活を続けていた朋也ですが、芳野さんと藤林姉妹との再会によって新たな旅立ちを迎えることになります。
 芳野さんからは電気工の仕事が人手不足である話を聞き、からは古いけれど安いアパートが近々空くという話を聞いた朋也は、「行動あるのみ」というのアドバイス通り、即座にアパートを決め、芳野さんの会社で電気工として働くことを決意します。
 Aパートのラストで「今までお世話になりました」と古河家の人々に頭を下げた後の朋也の表情からは、それまでのぼんやりとしたものが消え、後半で芳野さんが言った『大人になろうとあがいている子どもの顔』へと変貌を遂げていたのが印象的でした。

 印象深いといえば、Bパートの始め、キャッチボールをしながら朋也秋生の間でかわされた「いつか渚を連れてっていいか?」....「それは渚自身が決める事だ」という会話の間がなんとも印象的でした。そ〜いや、朋也早苗さんに対しては敬語を使うのに、アッキーに対してはタメグチなんですよね。近い将来に義理の息子と義理の父の関係となる二人ですが、この二人の間からは年齢を超えた男同士の絆を感じる事ができます。まぁある意味似た者同士なんですけれどね(^^;)。

 いよいよ新居に引っ越した朋也。確かに古いアパートだけれど、ちゃんと風呂もあるし、ベランダもあるし、なかなかのもんじゃないですか。
 6畳一間で玄関を入るとすぐ右手に流し台があって、正面に窓がある....私が学生時代に住んでいたアパートもこんな感じで、なんだかとても懐かしくなってしまいました(風呂はありませんでしたが)。
 もっとも、このアパートもずいぶん前に取り壊され、一昨年久しぶりに行ってみたら、そこにはワンルーム・マンションが建ってました。

 それにしても、引っ越しが終わり、秋生が(気を利かせて)帰った後の朋也の疑似新婚さんぶりにはニヤニヤが止まりませんでした。
 個人的には智代&杏派の私ですが、やっぱり嫁にするならですね(^^;)。

 翌日から芳野さんの勤める会社で電気工として働き始める朋也
 朝ご飯から夕ご飯まで作ってくれるなんて、はもうすっかり通い妻状態ですね。
 当面は芳野さんの元で見習いとして働くことになる朋也ですが、その仕事のハードさにすっかりお疲れの様子。せっかくが作ってくれた夕飯を食べ終わる前に夢の中に旅立ってしまいました。
 ところで、光坂電機の社長って、石原監督がモデルなんじゃないですか?

 ところで、冒頭で朋也が着ていた『牛乳』Tシャツは誰の趣味なんでしょう(^^;)?
 

第11回『約束の創立者祭』 2008/12/12放送

 藤林姉妹風子がメイド服を着ていた、春原河南子をナンパしていた、そして公子さんが朋也に誘われてやってきたのに風子の姿を見る事ができなかった、あの『創立者祭』からもう1年経つんですね。

 あのとき朋也達の後押しによって公子さんが結婚を決意したその相手である芳野さんの勤める会社で朋也が働く事になったのだから、人間の縁というものは不思議なものです。

 芳野さんに鍛えられながらなんとか仕事を覚えてきた朋也ですが、古河家に居候していた高校時代とは違い、と会えるのは朝食と夕食のほんのわずかな時間だけ。しかも仕事疲れでうとうとしたりしているものだから、ろくに会話をすることもできない状態。それなのに、常に朋也のことを気遣うはほんとに良く出来たヨメです。

 そのはといえば、体育で二人組でストレッチをするときもひとりぼっちという場面からもうかがえるように、未だにクラスの中では浮いた存在のようです。智代ゆきねぇやコーラス部の女の子達が同学年にいるからいつもひとりぼっちというわけではないだろうけれど、やっぱり同学年とはいえクラスが違うとなかなか接する機会ってありませんからね。
 でも、少しは登場させてやってくださいよ、智代とか智代とか智代とか...(^^;)。

 久しぶりにデートでもしないかと朋也が申し出ると、「その日は模試があるから」とすまなそうに答える。進学はしないのだから受ける必要は無いというのに、本当に真面目な娘です。
 そのの模試の日に、朋也がデートした...というか拉致された相手は古河父のアッキー。「大人の遊びを教えてやる」とアッキー朋也を連れて行ったのは馴染みのおもちゃ屋。いや、大人のおもちゃ屋ではなくて普通のおもちゃ屋です。そして突然始まるつるっぱげじいさん店主vsアッキーのレーザーセイバーもどきおもちゃによる剣戟。昼間しばしばアッキーがいなくなることがあると思ったら、こんなところで遊んでいたのか......いやはや困った大人です。
 しかし、この日の本当の目的はベンガルオオトカゲのおもちゃの入手。それを早苗さんの背中に入れて楽しむって....アッキーはどんな変態なんだ。
 それにしても、早苗さんが大の苦手とするベンガルオオトカゲって、実在の生物だったんですね。でも、何故トカゲではなくベンガルオオトカゲ限定であるのか、それは謎です。
 少しでも早苗さんの背中にベンガルオオトカゲのおもちゃを入れてみたいと思ってしまった自分は,アッキー並みの変態なんでしょうか?(^^;)

 そして、『約束の創立者祭』の当日、朋也は自分が昨夜やった仕事のミスを知らされ、代わりに現場に向かった芳野さんの元へ駆けつけます。朋也が今日と創立者祭に行く約束を知っている芳野さんは、朋也に創立者祭に行くよう告げますが、朋也は自ら責任を取って働く方を選びます。朋也も大人になりましたが,黙って後輩のミスをフォローする芳野さんの大人っぷり最高です。これぞ,本当にあるべき上司の姿ですね。もっとも,あの熱い芳野語録には同僚達も「やれやれ」って感じの様子ですが(^^;)。

 仕事が終わった後、が待つ母校へ作業服のまま走って向かう朋也。時間はもう創立者祭終了間際の時間だというのに、校門の前には約束通り一人で朋也を待つの姿が...きっと,智代ゆきねぇやコーラス部の女の子達から誘われたりもしたのでしょうが,朋也が来るからと,ずっと待っていたんでしょうね。
 朋也の姿を見て、自分との約束を破って仕事を選んだ事に気づきながらも、それに対して文句を言うこともなく笑顔を浮かべるは、良くできたヨメをすら超越して女神様のようです。

 しかし、ヒロイン勢揃いで目を楽しませ、常に春原が笑いを提供してくれた学園編と比べると登場人物が減り(特に若い娘が(^^;)、内容的にも地味な展開が続くだけに、原作ゲームを知らない人にとって前回からの『(本当の)アフター編』は退屈なものになっているのではないかと、少しばかり心配してしまいます。
 今後のある意味『鬱』な展開をどう料理するか、これからが京都アニメーションの真価を問われるところですね。
 

第12回『突然の出来事』 2008/12/19放送

 朋也の高校卒業以来、どちらかといえば地味な展開が続いていた『CLANNAD 〜AFTER STORY〜』ですが、ここにきて大きな転機を迎えました。

 芳野さんから少しは認めてもらえるくらいに仕事にも慣れ、との愛情も地道ながらも着実に育みつつある(つ〜か、この二人まだキスもしてないんじゃないだろうか?)朋也の元に、元請けの会社で正社員として働かないかという話が舞い込んできます。
 条件の良い話だけれど、突然の事なので戸惑う朋也ですが、芳野さんとの後押しもあって、新たな道に進む決意をします。
 そんな順風満帆だった朋也の元に届けられた『父親逮捕』の知らせ。
 本来、親子と仕事は無関係ではあるはずなのだけれど、そうはいかないのが現実というもので、せっかくの転職の話も立ち消えになってしまいます。
 父親から受けた怪我でバスケを諦め、そして今度は父親の逮捕によって転職の話を諦めることになってしまった朋也にとって、父親である直幸は確かに疫病神としか思えないのかもしれません。
 その呪縛から逃れるために一緒に街を出て行こうと告げる朋也に「前向きな気持で出て行かなければ、この町は帰ってこられる場所でなくなってしまう。」と答えるは朋也が弱くなればなるほど強くなれる娘なんですよね。逆もまた真なのですけれど....

 の後押しもあってか(ここのいきさつは語られてないんですよね)、とともに拘置所に面会に行く朋也。しかし、朋也がいくら感情的になじっても、何も言わずただ笑顔を浮かべるだけの父、直幸。実はあの笑顔の裏には色々な想いが隠されているのだけれど、今の朋也にそれがわかるはずもなく、「あなた最低です」(とは言ってないけれど(^^;)激高し、面会室を飛び出してしまいます。
 そして、朋也はこらえきれない激情をぶつけるように拳をコンクリートの壁に叩き付けるのですが、父親と自分はもうわかりあえない関係だと言いながらも、本当に見切りをつけた相手だったら、こんなにも激情にかられることはないはずなんですけれどね。
 ジョン・レノンの曲で『マザー』という曲があるのですが、その曲で彼は自分を幼い頃に捨てた父親についてこう歌っています。
 「僕にはあなたが必要だったのに
  あなたには僕なんか必要じゃなかったんだ
  だから僕はこういうんだ
  さよなら、さよなら」
 一見父親と決別を告げた内容のようですが、この曲の最後は
 「ママ 行かないで
  パパ 家に戻って来て」
 と叫ぶように何度も繰り返されるのです。
 朋也の気持ちは、まさにこの歌のように愛憎入り交じったものなんですよね。

 に必死で止められて、放心したように崩れ落ちた朋也の口から出て来た言葉は
 「結婚しよう」
 まったくなんて、最低なプロポーズでだろうね。
 しかし、それに対して間髪入れずに
 「はい」と答える
 夫婦とは、本来お互いに支え合う関係なのだけれど、この二人の関係こそまさにそのものだと思います。
 ただ、その関係が深いだけに、もしどちらかの存在が消えてしまったら、その喪失感たるや想像を絶するものとなるのでしょうね。

 そして、今回のもうひとつの軸となるのが、芳野さんの過去話です。
 人気ロック歌手として一世を風靡した芳野さんが、何故現在電気工として働いているのか、その理由が本人の口から語られます。
 自分のためにだけ歌っていた歌が、他者の人生を左右する影響力をあたえることになったことに対するプレッシャー故に自分自身を見失い、最終的には覚せい剤に手を出してしまった芳野さんは、奔放なようでいて、実は真面目で不器用な人間なんです。歌う事、曲を作る事を仕事としてわりきることができていたら、こんなにも苦しむことはなかったはずです。
 そんな、芳野さんが最後に望んだことは、かつて住んでいた町に戻る事。そして、町に戻った芳野さんの前に現れたのは、自分が本来ラブソングを歌うべき存在であった公子先生でした。
 おそらく芳野さんと公子先生の交際には色々な困難があったはずです。何しろ二人の関係は元教え子と教師であり、世間を騒がせた覚せい剤使用歴有りの元不良ロッカーと教職者であり....まぁだからこそ結婚まで時間がかかったんでしょうけれどね。
 ということは、公子先生が芳野さんと結婚したのは三十路過ぎ?(^^;)

 いやぁ、まさに『クラナドは人生』な展開になってきましたね。
 

第13回『卒業』 2009/01/09放送

 実に2週間ぶりの『クラナド・アフター』です。いや〜,長かった(^^;)

 『卒業』とは別れであるとともに新しい旅立ちでもある、今回はまさにそのタイトル通りの回でした。

 (結婚の)話をしたいという朋也に、自分からヒットを打てたら話をきいてやると言うアッキー。当然ながらアッキー朋也との結婚の話を持ち出す事はわかっていたはずです。アッキー自身朋也のことは気に入ってるし、朋也のことを真剣に好いていることも知っているはずです。
 それなのに、何故肩が不自由な朋也に対して野球勝負を挑んだのかといえば、それは朋也にとってふさわしい人間か否か...いや、違うな、朋也を幸せにできる男であるか否かを試したのでしょう。
 「自分の弱みを理由にして勝負から逃げるような男に、俺の大切な娘をゆだねることはできない」そんな気持もあったんでしょうね。
 当然ながら勝負事に手を抜くようなアッキーじゃありません。全力で投げるアッキーの球を朋也が打てるわけもなく、まさに子どもの手をひねるがごとくあっさりと負けてしまいます。
 それでも、あきらめることなく、少しの時間も惜しんでバットを振り続けた朋也に、ついにアッキーの球をジャスト・ミートする日がやってきました。
 これで晴れて朋也は恋人から婚約者へとなったわけです。

 しかし、冬になり体調を崩してしまったはまた寝込んでしまい、出席日数は足りていたので卒業することはできたものの、卒業式には出る事ができませんでした。
 そんなのためにかつての仲間達が集まり、のために卒業式を行ってくれました。すでに昨年高校を卒業した藤林姉妹ことみまでも高校の制服を着て.....
 ほんの数回前までこれが普通の姿だったのに、何だかとても懐かしく思えてしまいます。こうして全員が揃うのは,おそらくこれが最後なんでしょうね。寂しいけれど、これから先の人生はそれぞれ別なのですから仕方ありません。
 そ〜いや、一人だけ見慣れない黒髪の男がいましたが、あれは誰だったんでしょう?(^^;) 
 いや〜、髪の毛が黒くなっただけで笑わせてくれるとは...春原の偉大さを改めて思い知らされました。

 そして、の高校卒業後,籍を入れた朋也
 これで古河渚から岡崎渚になったわけで、つまりこれはの古河家からの卒業でもあるんですね。
 拘置所(もしくは刑務所?)にいる朋也の父親に結婚の報告に行った時のは,髪の毛をアップにしただけなのに何だかとても大人びて見えたのは、やはり人妻になったからなんでしょうか?

 ところで、今回一番楽しませていただいたのは、朋也アッキーの野球勝負でもなく、感激のの卒業式(某東鳩のマルチ・シナリオを思い出してしまったのは内緒です(^^;)でもなく、実は初めてのお酒のイベントなんですね。
 高校生が飲酒?とクレームが入りそうですが、は高校3年生を3回やってるんで、高校生ではあっても未成年では無いので無問題です。
 一杯飲んだだけで真っ赤になってしまったは実に可愛らしいのですが、しかし、まさか絡み上戸だっとは....
 春原シナリオからなんとなく感じてはいたんですが、やっぱり早苗さんのことをライバル視していたんですね。
 しかも、アッキーだけじゃなく早苗さんまで煽るようなこと言うものだから......いやもうこのときのの絡み方が可愛いったらありゃしません。

 さて、次回からいよいよ朋也の嬉し恥ずかし新婚生活が始まるわけですが、原作を知らない人にとってはかなり衝撃的な展開が待ち受けていますので、くれぐれもご覚悟のほどを。
  

第14回『新しい家族』 2009/01/16放送

 と一緒に通っていた通学路にあった雑木林が無くなり、そこにファミレスが出来ていたのを見て呆然としたり、とともに過ごした演劇部の教室があった旧校舎が建替えのために取り壊されるという話を聞いて激しいショックを受ける朋也の姿を見て、原作ゲームをやっていない人の中には何故朋也がここまで『変化』に対して過剰とも思える反応を示すのか不思議に思う人もいるかもしれませんが、この朋也の『変化』に対する恐れというのはイコール『渚との関係が変わってしまうこと』に対する恐れであり、それが後に朋也という人間を変えてしまう原因にもなってしまうのです。

 ということはさておいて、今回もまた色々な意味で楽しませていただいた回でした。

 何といっても最高だったのは、妊娠がわかったときの
 「私と朋也くんは夫婦ですから、その・・・エッチなこともしちゃってます!!
 というの衝撃の告白です。
 「両親の前でこんなこと正直に言うなんて、きっと地球上でも珍しい生き物なんだ・・・渚ってすげぇ」  という朋也の言葉にも大いにうなずいてしまいますが、
 「めでてぇじゃねぇかよ」
 と言いながらも物凄い形相で朋也を締め上げるアッキーの気持も男親としては良くわかるような気がします。いや、娘はいないんですけれどね。

 話は前後しますが、結婚してしばらくしても自身の希望から働くようになるのですが、その場所というのが先に書いたファミレスなのです。
 そのファミレスに制服姿で働くヨメ(娘)を見に行こうと連れ立って行く夫と父親。
 なんだかんだいってこの二人は良く似ています。
 ファミレスで朋也とその友人Aことアッキーを出迎えたのは、元コーラス部の仁科さんと杉坂さんではないですか。
 実は仁科さんの紹介でこのファミレスで働くことになったのですが、仁科さんも杉坂さんもサブ・キャラにしておくにはもったいない可愛らしさですね。個人的にはツンデレを感じさせる杉坂さんが良いですねぇ...
 いやもちろん、制服姿のも可愛らしいのですが、しかし、あの変装ともいえない変装で友人Aが実の父とわからないとは......って本当に人を疑う事を知らない子なんですね.....ということにしておきましょう(^^;)。
 それにしても,実の娘の制服姿をあれだけ撮りまくるとは,アッキーの親バカぶりもあそこまでいくと清々しさすら感じてしまいます......つ〜か,良く通報されなかったよなぁ(^^;)

 ところで、結婚して二人暮らしを始めたときの
 「スタートだからよーい,どん,でしょうか」
 「ゴールなんてないじゃん」
 という朋也の会話は『CLANNAD』の前作ゲーム『Air』にあった台詞が元になっているのですが、その元々の台詞を考えると、なんともいえないものがありますね。 
 

第15回『夏の名残に』 2009/01/23放送

 めでたくご懐妊の
 と生まれて来る子どもを自分が守らなければならないと考えながら、「親父もそう思ったのだろうか?」と、ふと思う朋也朋也が負の感情以外で父親のことを考えたのは、『CLANNAD』全編を通してこれが初めてではないでしょうか。
 「子を持って初めてわかる親心」といいますが、朋也も自分自身が父親になることによって父、直幸の本当の気持がわかってくるのかもしれません。

 しかし、元々が身体の弱いです。予想していた事とはいえ、出産には危険が伴うことを改めて早苗さんから聞かされて動揺する朋也
 そんな朋也秋生が連れて行ったのは、現在病院が建設されている場所。そこには元々森があり、そしてその森こそが,かつて生死を彷徨っていた(医者からも見放されていた)が命をとりとめた奇跡の場所なのです。秋生が営業中にしばしば消えたのは、ここを訪れるためだったんですね。
 その特別な場所で、初めて朋也のことを『ボウズ』ではなく『朋也』と呼び、「俺達は家族だ」と告げる秋生
 いや〜、こんなにマジでカッコいいアッキーの姿を見るのはこれが初めてかもしれません。
 しかし,秋生はその大切な場所が変わってしまう事に対してはそれほど拘りを持っていないようで、良く似ていると言われる二人ですが、その点では変わってしまうことを必要以上に恐れている朋也と大きく異なっていますね。
 ふと思ったんですが,朋也の変わってしまうことに対する恐れは、家族である父親との関係が変わってしまったことがその原因の根底にあるのかもしれません。

 子どもを生む事に対するリスクを知らされても「わたし、赤ちゃんに逢いたいです」と決心が揺るぐ事の無いは本当に強い子...いやもう女の人ですね。
 残暑の河原で生まれて来る子どもに『汐(うしお)』と名付ける
 そんなに「約束しょう、来年は汐と3人で海に行こう」と語りかける朋也
 いや〜、『海』はいけません『海』は...KEYの前作ゲーム『AIR』では結局『二人で海に行く約束』は果たせなかったし、それに「過酷な運命が待ち受けている」かもしれないじゃないですか(^^;)。
 そして、いつものなら「はい、私も朋也君と汐ちゃんと一緒に海に行きたいです」と満面の笑顔で即答するのに、何故かそれには答えず、朋也が「約束しよう」と更に念を押してようやく「約束します」と答え,しかもその表情はやけに寂し気なものでした。
 やはりも不安が大きいのか、それとも....

 そういえば、金曜日にケーブルTVの『日本映画チャンネル』で山口百恵と三浦友和主演の映画『風立ちぬ』(堀辰雄原作)の最後の方だけをたまたま見たのですが(うちのカミさんが最近『山口百恵&三浦友和シリーズ』にハマってるんですよ(^^;)、そこで、これから出征しようとする三浦友和演じる達郎と結核の末期の状態にある山口百恵演じる節子の間で「(自分も戦場から生きて帰って来るから君も生きて待っているよう)約束しよう」「約束します」という台詞がかわされており、これは何というシンクロ...と思ってしまいましたが、節子は達郎が出征するその日に死んでしまうんですよね。

 そういえば、原作の小説『風立ちぬ』は『ヴァレリの詩「海辺の墓地」中の一句「風立ちぬ、いざ生きめやも」から表題をとった中篇小説』だそうですが、この言葉もまた今後の『CLANNAD AFTER』の展開を暗示しているかのようです。
 

第16回『白い闇』 2009/01/30放送

 原作をやっているから当然こういう展開になるのはわかっていたけれど、それでも実際に映像としてその場面を目の当たりにさせられてしまうと、辛いものがあります。
 そう、今回はあまりにも辛ら過ぎて、泣く事すらできませんでした。

 Bパートはほとんんどがの出産シーンにあてられていましたが、その壮絶さときたら......うちのカミさんも出産のときには死ぬかと思ったと言っていましたが、出産というものは男には永遠にわからないものなのかもしれません。
 しかも、その日は熱を出しており、なおかつ大雪のためにクルマも動かず病院に連れて行くこともできないという最悪の状況下の出産になってしまったのですから、が苦しむ様子をずっと見守っていなければならなかった朋也の心境も、心が壊れんばかりのものがあったに違いありません。
 それでも、出産後が元気でいてくれたら、その辛さも喜びへと変わったのでしょうが、をこの世に送り出したのを見届けた後、この世を去ってしまったのですから、朋也の心が壊れてしまったのも仕方が無いのかもしれません。
 良く「『CLANNAD』は人生」といわれますが、朋也にとってはと生きる事が人生そのものだったのです。そのの命を奪ってしまったのが、に子どもを作ってしまった自分自身であり、そして生まれて来たである、そんな思いが「(渚と)出会わなければ良かった」と、朋也に言わせてしまったのでしょう。
 そして、ここから朋也の『失われた日々』が始まるのです。

 それにしても、出産からがこの世を去るまでの描写には圧倒されました。
 アニメって、ここまで表現できるんだなぁ...いや、これは凄い。
 画面全体がぼやけた感じで背景が真っ白なのは、もちろん手抜きなんかじゃありません。あの焦点の定まらない映像は、の視点でもあるのだと思います。まさに生命の灯火が消えようとする寸前、彼女の目に入って来たのは朋也朋也に抱かれるの姿だけだった...そうとらえることもできるのではないでしょうか。

 また、朋也の中で走馬灯のように流れるとの思い出が、現在から過去へと遡っていき、最終的に坂の下で初めて渚と会った場面となるのですが、現実と異なるのは朋也に声をかけず、渚が一人で背を向けて去って行ってしまうというところです。ここで「出会わなければ良かった」と悲痛な声をあげる朋也の弱さを誰が責めることができるでしょう?
 また、思い出のシーンの中には以前アニメで使われた物だけではなく、新たに作られた物も数多く挿入されているのですが、それがあまりにも幸せに溢れる姿であり、それだけに辛さも倍増で、いやほんと、京都アニメーションってところはこういう所も容赦ありませんね。

 ところでAパートでは、正月に藤林姉妹ことみ、そして黒髪(お前誰?)春原が岡崎家を訪れるという嬉しいアニメ・オジナル・シーンがあるのですが、ここでことみが語った『もうひとつの世界』の話は、実は『CLANNAD』という物語の根幹となる話でもあるんですよね。
 このことみの話と、その話を聞いた朋也の頭の中に突然『もうひとつの世界』が浮かんで来るシーンで、ゲーム本編ではなかなか分かりづらかった『僕と孤独な少女がいる世界』と『朋也達が生きている世界』との関連性がかなり分かりやすくなっているように思えます。

 しかし,今回のAパートの冒頭で映されていた『岡崎 朋也 渚 汐』と三人の名前が並べられていた郵便受けに貼られていた紙が、次回予告では無惨にも破かれているのを見ただけでも、これからしばらく続くであろう鬱展開が、かなり心に痛いものになることは覚悟しなければなりませんね。
 

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