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ここ数日の間,僕は不思議などろりとした時間の中を漂っていた。 <解説書より> |
リーフ・ビジュアルノベル・シリーズの記念すべき第1弾が,1996年に発売されたこの『雫』です。私も『To Heart』-->>『痕』-->>『雫』と遡っていった口ですが,噂には聞いていたとはいえ,ここまでダークなゲームだとは思いませんでした(^^;)。とても『To Heart』と同じソフト会社が作った作品とは思えませんね。もっとも,『雫』から始めたLeafファンにとっては,『To Heart』以降のゲームの方がLeafらしくないと思うのでしょうけれど....実際そういう人も多いと聞きます....
それにしても,このゲームの主人公である長瀬祐介くん,解説書の『キャラクター紹介』では「私立の高校に通ういたって普通の高校生で,運動も勉強も中の下ぐらいの能力しかありません。自閉症気味で友達もなく,いつも妄想の中へ逃げてばかりいます。繰り返される退屈な日常に嫌気がさし,それを生み出す現代社会に敵意にも似た感情を抱いています。」と,まったく良い所がありません。ゲームの主人公で,ここまでダメダメ人間って少ないのではないでしょうか?絶対に『いたって普通の高校生』じゃないよね(^^;)。
でも,なんとなく長瀬祐介君の気持ちはわかるような気がします。私も高校生の頃は『自閉症気味で友達も少ない』というわけではなかったのですが,それでもしばしば鬱屈とした思いを『妄想の中』で爆発させていた口ですから....高校生の頃って,多かれ少なかれこういうことってありますよね....まあ,だからこそこうしていまだにカルト的な人気があるのでしょうけれど....
正直言って,『痕』と比べるとシナリオも絵柄も完成度は低いのですが,それは先に『痕』をやったからそう思うのであり,先に『雫』をやっていれば,かなりの衝撃を受けたことは間違いないでしょう。口コミで人気が出たというのも良くわかります。
シナリオ的には月島瑠璃子シナリオ(それもHappy EndじゃなくてTrue End)が一番好きですね。とてもやるせないEndingなのですが,あのシナリオはどう考えてもあのように終わるしかないでしょう。Leaf恒例の(^^;)膝枕のシーンで,満月を背に見せるあのぞっとするような笑顔もまたとても魅力的です。
しかし,キャラクター的には『さおりん』こと新城沙織が一番ですね。本当に良い娘で,この娘のBad Endだけは見たくないと思ってしまいます。この娘にはHappy End以外は似合いません(といいながらしっかりBad Endも見てしまったのだが....(^^;)。でも,どうして彼女はダメダメ人間の長瀬祐介くんを好きになってしまったのでしょうね?大いなる謎です....(^^;)。
さすがにキャラ人気一番ということもあって,後に『さおりんといっしょ』というアミューズメント・ソフトも発売になっていますが,これは今現在未プレイです。上記の二人に比べて,もう一人のヒロインである藍原瑞穂は影が薄いですね。彼女の場合は主人公(長瀬祐介)との物語ではなく,事件の発端である太田香奈子との物語であると言った方が正しいのでしょう。
Endingのクレジットを見て驚いてしまったのですが,この『雫』の音楽担当者として,『Kanon』『Air』等でお馴染みの折戸伸治氏も参加していたんですね。彼がLeafの作品でも音楽を担当していたとは,まったく知りませんでした(^^;)
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