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『Lien〜終わらない君の唄〜』はPurpleから2000年に発売されたゲーム(18禁)です。 ネット上の色々な所で面白いという評判を見ていたので,以前からやってみようかな,と思っていたものです。中古で4200円と,えねま的にはちょっと高かったけれど,まあせっかくだからというので(何がせっかくなのだか(^^;)買ってみました。 そして,これはそのリアルタイムなゲーム記です。 当然ながらネタばれ有りですので,これからやってみようとする方はそのつもりで読んでくださいね(^^;) |
我が家の恋愛ゲーム専用機,SOTEC PC STATION M246にインストゥールする。容量が約280MBというのは,最近のゲームとしては少ない方ですね。インストゥールは問題なく終了。さっそく始めてみる。 このゲーム,音声はCDを使用しているようですね。ふむふむ,だからゲーム本体の容量が少なくて済むんだな。確かに,音声をフル・インストゥールしてギガバイトになってしまうようなソフトよりはマシってもんです。 なんと,しょっぱなから主人公(志郎)はクルマにはねられて死んでしまいます。そして気が付いたら幽霊になっているんだけれど,これがまたなんとも幽霊の自覚に欠けた(そもそも幽霊に自覚があるのかどうかはわかりませんが(^^;),お気楽な幽霊です。 最初に登場してくる女の子は幼馴染みの晶ですが,この娘も霊能力があるせいか,主人公が現れても少しも慌てることもなく,素直にその状況を受け入れています。彼女の特徴はなんといってもウサギの耳のようなリボンですが,リボンと幼なじみといえば,どうしてもTo
Heartのあかりちゃんを思い浮かべてしまうのは,これはいたしかたのないことでしょう(^^;)。が,晶は性格的にはあかりちゃんタイプではなく,同じ幼なじみでもどちらかといえばまじアンの結花タイプですね...すぐに暴力ふるうし(^^;) 前半はギャグが主流だとは聞いていましたが,いやぁ,飛ばす飛ばす,しかもマニアックなネタがどんどん出てきます。ビル・ラズウェルならまだ少しは認知度があるかもしれないけれど,フレッド・フリスなんてよっぽどのロック・マニアじゃないと知らないと思うぞ(^^;)(注1)....それをクラスの全員が知っているというのも凄い話だが....(^^;)。 ところで,ヴォイスが時折出たり出なかったりするのはどうしてなんでしょうか?バグかな?(^^;)....それともそういう仕様なのかな? とりあえず,最初は某こみパの彩ちゃんに似ているというファースト・インプレッションを受けた楠若葉狙いでやってみることにしましょう(作者は「ときめも」の如月さんだと言ってますが(^^;)。 |
続いては幽霊娘の近衛柚さんにチャレンジ。何やら古めかしい名前なのも当然,彼女は数十年前に自殺をした女学生の幽霊なのです。学校の桜の木の下には彼女の悲恋にまつわる石碑が建っているのですが,彼女自身は何故かその悲恋の物語と自殺を否定しています(本人曰く「食べ過ぎのための事故」)。 その真相についてはシナリオが進むうちに明らかになってきますが,これがなかなか泣かせるんです。 ところで,この幽霊娘の近衛柚さんですが,主人公同様なんとも幽霊らしくない幽霊でして,そのふにゃふにゃヴォイスは若葉ちゃんのへろへろヴォイス以上に腰が砕けてしまいます。特に「う〜う〜」歌われる鼻歌は,聞く方の背骨が無くなってしまいそうです。 それ故でしょうか,生徒を脅かそうと思っても,誰も相手にしてくれず,幽霊としてのアイデンティティに悩んだりもします。 しかし,Sexに対しては非常に積極的で,煩悩の固まりのような主人公が思わず腰が引けてしまったくらいです。もっとも,結局はゲーム中3回もいたしてしまうのだけれどね(^^;) それにしても,幽霊との恋愛物というのは記憶にあるけれど,幽霊同士の恋愛物ってこれが初めてですね。 ラストの二人背中合わせになったまま昇天していく場面は,なんだかとてもじんわりしてきます。 シナリオ全般概ね問題なく進んだのですが,途中『外出イベント』の所で,いつまでも外出できずに堂々巡りをしてしまうことがありました。そこで,このイベントを起こすために必要なみなものシーンまで戻ってみると,途中「とりつき」のボタンが発生しているのを発見。みなもにとりついて見たところ,目出度く(^^;)『外出イベント』が発生しました。 |
笹木みなもシナリオ終了。絵柄もヴォイスもあまり好みでないため,あまりというかほとんど期待せず,とりあえずやっておこうかという気持ちで始めたのですが,すみません,私が間違ってました。いや〜,良かったです,みなもシナリオ。個人的には今までやった3つのシナリオの中で一番楽しめました。 特に,ラストの,明日はないことを知りながらも,互いに「また,明日」と笑顔で別れるシーン(この場面のCGがまた良いんです),そして志郎が消えた後でみなもがひとり「今日だけは,さようなら」とつぶやくシーンには泣けました。 シナリオ途中,みなもは早香という人形に身体を乗っ取られ,自分自身が人形になってしまいます。普通ならここからオカルト路線まっしぐらなんでしょうが,これは「Lien」ですから,そんなことにはなりません。早香が,不幸にして若く亡くなってしまった自分の元の持ち主のお嬢さんに「恋愛成就の思い」を届けるためにみなもの身体を乗っ取ったことを知ると,志郎とみなもは,1週間の期限付きでその手伝いをすることになります(みなもは嫌々ながらですが)。 さて,9日の日記で『「とりつき」ってのが良くわからないんですよね。』と書きましたが,この「とりつき」というコマンドは,みなもシナリオのために存在しているといっても過言ではないでしょう。 初めに書いたとおり,最初のうちはみなもについては単なるお笑いキャラとしてしか認知せず,ほとんど魅力を感じていなかったのですが,ゲームを進めるうちに,徐々にみなもが可愛らしく見えるようになってたんですよね。これもシナリオの力なのでしょう。 ゲーム的には選択枝等特に難しい所もなく,最後までスムーズに進めることが出来ました。 エピローグにおいて,みなもは母校の教師になっていましたが,そういえば,『あずまんが大王』の黒沢先生もみなもでしたね....って,関係.....ん〜...ないんでしょうね(^^;)(^^;)。 |
本作のメイン・ヒロインである鷹取晶の攻略が終了しました。これで一応Lienのシナリオはすべて終了したということになりますね(CGの取り残しはありますが(^^;) さて,鷹取晶シナリオですが,さすがにメイン・ヒロインだけあって良くできていると思います。 特にラスト・シーンのかくれんぼと,晶が夢の中で志郎の葬式の日を回想するシーンでは,その切なさに涙涙でした(葬式の日の回想シーンでは父(玄照)と晶と恭子の会話も泣けました)。 また,他シナリオとの関わりとしては若葉との絡みがあるのですが,そりゃ確かに晶としては若葉をそう簡単に許すわけにはいかなかったでしょうね。このあたりのシナリオは本当に痛いものがあります。 ところで,晶シナリオの重要なシーンとして『公園のかくれんぼの想い出』というものがありますが,これってTo
Heartのあかりシナリオにも似たようなものがありましたね。そうえいば晶の『うさぎグッズ・コレクター』ぶりはあかりの『くまグッズ・コレクター』ぶりに良く似ているし,幼なじみでありなおかつリボンをしているというところもあかりに良く似ています。 また,ゲーム中において晶シナリオが一番音楽ネタ(しかもディープ)が多かったように思います。たとえば,前にもちょっと書きましたが,志郎がクラスメイトの関心をそらすために放った「あそこでビル・ラズウェルとフレッド・フリスとチャールズ・ヘイワードがバンドを組んでいる!」という台詞は,よっぽどの音楽通でないとわかりませんよ。 このシナリオをやっているときに恭子さんとの絡み(文字通りの意味で)のシーンが出てきたのですが,ううむ,これってちょっと危険?(^^;)。エピローグで出てくる玄照と恭子の子どもが,このときにできた子どもだと考えると面白いかもしれませんね(^^;) |
このゲーム『Lien』のタイトルってリエンじゃなくって『リアン』って読むんですね(^^;)。 さて,それでは最後にこれまでに書かなかったことを徒然書いてみたいと思います。
この手のゲームで主人公が眼鏡をかけているのって珍しいですよね。というより,主人公がはっきりと顔を出しているゲームそのものが珍しいといった方が良いかもしれません。いわゆるギャルゲーの主人公が画面に登場するときは『前髪で顔を隠してわからないようにする』というのがお約束になっていますからね。 『ポエム無頼派』を名乗る主人公ですが,その破天荒な言動とは裏腹に,女の子達の気持ちに対しては非常に敏感です。このあたりもいわゆる『ニブチン』な主人公が多いギャルゲーの中にあっては珍しいキャラだと思います。 ゲーム冒頭で,気付いたら幽霊になっていたというシチュエーションに対して少しも動揺しなかったのは,主人公が生前から霊的能力の高い人間だったからなのでしょうね(だってゲームなんだからといわれたらそれまでですが(^^;)
いわゆるギャルゲーの中で,これだけ強烈な父親が登場するゲームって他に知りません。というより,主人公の父親が登場するギャルゲそのものがほとんどないのではないでしょうか?たとえば『To Heart』『Kanon』は両親とも仕事のために主人公の元から離れており(『同級生』も似たような設定ですね),『One』『痕』『Air』では両親とも死去しています。つまり,ギャルゲーにおいては,親が不在であるということが基本的な設定であるといえます。その中にあって玄照は極めて特異な例といえるでしょう。 しかし,あの姿のどこが父親で住職なんでしょう?(^^;)。あれじゃあ,どうみても着流しロッカーじゃないですか(そんなものいませんが(^^;)。もっともジミヘンやジョン・マフラクリンが好きである等,音楽的な好みは年齢相応なんですけれどね....。ちなみにいつも背負っているギターはギブソンのフライングVですが,実はこのギターとても重いんです。ですから,あのようにいつも背負っていると,かなり腰に負担がかかるのではないかと心配してしちゃいます(^^;)。
『Lien』で不満があるとすれば,このシステム面ですね。 まず,ゲームを何回かやっていると,ゲーム上あまり重要でない繰り返しの台詞はどうしても飛ばしたくなるものですが,『Lien』の場合,台詞を飛ばす機能はあるものの,これが既読未読に関わらずに飛ばしてしまうので,非常に扱いにくいのです。やはり『一度読んだ台詞は飛ばす』という機能にしてほしいですね。 また,シナリオを遡って読む機能がないのも辛いですね。これって案外使うことが多いんですよ。 それから,セーブできる場所が限られているってのも面倒ですね。特に選択肢の直前でセーブできないってのは辛いですよ。 音声はCDから出しているのですが,この音声の立ち上げが遅いのもまた減点対象ですね。同じようにCDから音声を出しているPSのソフト(たとえば『To Heart』)ではそのようなことがないだけに,とてもイライラしてしまいます。 また,音声をつけるのならば,すべての台詞に音声をつけて欲しいですね。台詞によって付いていたり付いていなかったりでは,なんだか流れが悪く感じられます。 音といえば,効果音が少ないのも寂しいですね。たとえば,晶のはりせんなどは,音付きの方がもっと楽しいと思います。
とまあ,システム上では不満が残りますが,ゲームとしては非常に楽しめたゲームです。 シナリオ的には今年やったゲームの中ではダントツの1位ですね。 何よりも,すべてのシナリオの別れのシーンにおいて涙がなかったのが素晴らしい。通常のゲームであれば,ヒロインの涙でゲームをする者の涙をさそうようなシナリオにするところを,『Lien』ではあえてそうせず,ヒロイン達は皆笑顔で志郎の旅立ちを見送りました。しかし,笑顔であるが故に切なさは何倍にも増し,私は涙を禁じ得ませんでした。もっとも,涙とはいっても,『Air』のときのような号泣に近いそれではなく,目頭が熱くなるくらいのものだったのですが,哀しいという気持ちではなく,かえって爽やかな気持ちにさせるものでした。 しかし,万人向けのゲームかといえば,それは難しいかもしれません。 とはいえ,人生の卑猥....ではなく悲哀を味わってきた不良中年ヲタクにとっては,単純なハッピー・エンドのゲームよりは『Lien』の方が絶対に楽しめると思います。少なくともギャグのキレだけでも買う価値十分に有りと言えますね(^_^) (注1)後日えねま亭掲示板にシナリオ担当の荒川工さんから直々に書き込みがありまして,彼のHPをおじゃましたところ,かなりコアなRockファンであることが判明いたしました。 |
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