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『アトラク=ナクア』はAlice Softから1997年に発売されたゲーム(18禁)です。当時は『アリスの館4.5.6』として3本のゲームがパックとなって売られていたのですが,現在ではバラ売りで,1本当たりの単価を安くして(定価2800円)売られています。 以前からストーリーが面白いと評判が高く,また売値が新品で2100円と安かったので買ってみました。 これはそのリアルタイムなゲーム記です。 当然ながらネタばれ有りですので,これからやってみようとする方はそのつもりで読んでくださいね(^^;) |
我が家の新恋愛ゲーム専用機,Sony Vaio PCV-J12にインストールする。ヴォイス入りではないので,最近のゲームのように容量を圧迫することもなく(ハードディスク80MB以上といいますから,最近のゲームの約1/10ですね),スムーズにインストールは終了。 オープニングの印象は『痕』+『久遠の絆』って感じですね。女郎蜘蛛の初音と僧銀(しろがね)の戦い。この二人の間には深い因縁があるようですが,これはきっとシナリオが進むうちに分かってくるのでしょうね。
また,選択肢の数そのものも少なく,ゲーム性は皆無といっても過言ではないでしょう。まさにこれはヴィジュアル・ノヴェルですね。 それにしても,初音姉さまはカッコイイですね。もっとも,彼女の場合はかなこを助けるのも沙千保を見逃すのも,善悪じゃなくてその場の気分なんでしょうけれど....
この章のヒロインであるつぐみは,沙千保の恋人である渡辺鷹弘(鷹久じゃないのね(^^;)の妹ですが,病弱で大人しい沙千保とは対照的に活発で明るい実に可愛らしい女の子です。 また,この章で重要な役割を果たすのが体育教師の猪口なのですが,この男がまた徹底的に嫌な男として描かれています。なんだか『同級生2』の某先生を彷彿とさせるようなキャラクターですね(^^;)。お〜い,教え子を襲っちゃいけないぞ!(^^;)。 この章においてもつぐみが『贄』になる場合と『外界』のままの両方がありますが,前者における初音姉さまは実に鬼畜で恐ろしいですねぇ....いやぁ千鶴さんと同じくらいに怒らせてはいけない女性だということが良くわかりました(^^;)。一方後者における初音姉さまは何だか必殺仕置き人みたいで(^^;)実にカッコイイですね。 なお,この章で初めて銀が登場するのですが,この人物もまた善なのか悪なのか良くわからない謎の人物です。 |
う〜む,なんといいますか,重いですねぇ(^^;)。 沙千保の場合は,淫靡な中にも切なさを感じさせるストーリーとして楽しめたのですが,つぐみの場合はひたすらダークで痛いシナリオのために心がずっしり重くなってしまいました。あれではあまりにもつぐみが可哀想じゃないですか。 沙千保はかたっぱしから男の精気を絞りとるという嬉し恐ろしい行為はとっても,人を殺すことはしません。しかし,つぐみは初音を怒らせたために人の命を奪うことによってしか精気を得ることができず,そして,最後には大切な人の命まで奪うことになってしまうのです。もう徹底して救われません。 それにしても鷹弘君は思ったよりも役立たずでしたね(^^;)。登場した頃は,初音があやかしの存在であることに気づいたり等,おっ,この男はやるのでは?と思わせながら,結局は何もできないままでした。う〜む,もっとヒーローっぽいキャラだと思っていたのになぁ....だらしない(^^;)。 でも,この章で一番災難だったのは鮎川君ですね。沙千保からは精気を搾り取られてしまうし,つぐみからは殺されそうになってしまうし....でもまぁ,どちらの場合にせよ,殺されなかっただけ良かったのかもしれません。 結論,初音姉さまは決して怒らせてはいけません(^^;)。 |
『カナコ』はかなこと和久を中心として物語が進みます。裕福ではあるが家庭に恵まれないかなこと,大阪からの転校生であり,何か心に大きな傷を持つ和久との心の触れ合い....というと恋愛ゲームでは良くあるパターンですが,このゲームに関しては当然のことながらハッピー・エンドはありません。和久は贄となるか,さもなければ生きていても記憶を消されてかなこのことは忘れてしまいます。それはかなこが助けを呼ぶときにどちらの名前を呼ぶかで決まるのですが,結末が想像とは逆だったのにはちょっと驚いてしまいました。 それにしても宇都宮君は嫌なキャラだなぁ....かなり電波入ってるし(^^;)。まぁ,確かにみゃ〜ちゃんはいじめたくなるキャラではあるけれどね(^^;)。 夜のシーンのつぐみも悲惨だけれど,兄の鷹弘君も負けず劣らず悲惨ですね。下手に意識があるだけに,その辛さは計り知れないものがあります。特に沙千保との絡みは切ないですね。 『ホコロビ』で新たに登場するのが燐(りん)です。彼女は初音よりも先輩なのだけれど,とてもそうは見えませんよね(^^;)。そして,この眼鏡キャラの女の子の登場によって,初音の作った結界にほころびが生まれてくるのです。 それにしても,何故初音はかなこが望むにも関わらず,彼女を贄にしなかったのでしょう? この章でいよいよ銀の活動が活発になってきます。しかし,何故銀と初音が戦うのか,その理由は明らかにされません。ただ,初音が銀と神社の娘の間にできた子どもを殺したことは明らかになります。それだけではなく,銀と初音と燐の間にも深い因縁があったのです。 そして『終章』において銀と初音の最後の戦いが行われます。そして,銀と初音の関係についても明らかになります。それは,性別は異なれど,初音とかなこの関係に近いものだったのです。だからこそ,初音はかなこを殺しもせず,また贄にもしなかったのですね。 銀と初音の戦いもまた愛憎の果てに行われたものでした。それ故戦いの結果はあれ以外には考えられませんね。なんとも切なく哀しい物語の終末でした。 ところで,贄になった者達はあの後どうなったのでしょうね?初音の死とともにこの世から消えてしまったのでしょうか?だとしたら,かなり救われない話ですよね。 p.s.かなこ『咎なし』でゲームを進めると,とても哀しい結末になるんですね。いわゆるバッド・エンドなのでしょうが,私はこちらのエンディングの方に心を惹かれてしまいます。みゃ〜ちゃがとても可愛いしね(^^;)。また,このストーリーにおいて,和久が大阪の高校から転校してきた理由もわかりました。 |
さすがに各方面で高い評価を受けているだけあって,読み物としてはとても楽しめる作品でした。しかし,元々が『アリスの館4.5.6』という3本セットの作品の一つであるためか,ボリューム的にはやや物足りない印象があります。時間があまりないので分けて実施したのですが,集中して取り組めば,おそらく半日くらいで終わってしまうのではないでしょうか?(もっともCGをコンプリートするためにはそれ以上の時間を要しますが)。 ただ,個人的にはダークな話が苦手なので,贄となったつぐみや鷹弘の話は救いがなくて,ちょっと辛いものがありましたね。 しかし,文章そのものが上手いために,辛い内容でもついつい読まされてしまうんですよ。ですから,ゲーム時間が短いことを別としても,最後まで少しも飽きることなくやりとげることができました。 絵柄は概ね好みなのですが,アップになると別人に見える絵がいくつかあったのがちょっと残念ですね。個人的にはもっとCGの数があると嬉しかったのですが.... ゲームとしては選択肢が少ないし,ボリューム的にも物足りない感じがしないでもありませんが,2千円台という値段から考えると,とてもお得なゲームですので,ストーリー重視の方ならやって損はしないと思います。ただ,ダークな傾向の内容が苦手な方にはあまりお薦めできませんね。 |
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