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2001年08月30日 First Offence (1979)
iNMaTES
1979年にいわゆるパンク&ニュー・ウェイブ・バンドのひとつとしてデビューしたイギリスのバンドです。しかし,その実体は,パンクというよりは1960年代のビート系バンドの流れを汲んだ正当派R&Rバンドだったのです。そういえば,ジャケットの写真はストーンズのデビュー・アルバムをかなり意識しているようにも思えますね。
当時のパンク&ニュー・ウェイブ・バンドのサウンドが,今聴くと古さを禁じ得ないものが多いにもかかわらず,iNMaTES(インメイツと読みます)のサウンドはまったく古さを感じさせません....というより,当時から時代を超越したサウンドだったんですけどね(^^;)。基本的にはギター,ベース,ドラム(メンバーではないのですが)というシンプルな編成なのですが,そのいずれもがキレが良くて実に何とも格好いいんです。演奏力に難のあった数多のパンク・バンドとは比べ物にはなりません。
そしてまた,収録曲がポップでキャッチーな曲ばかりなんですよね。1曲目の「ダーティー・ウォーター」(1960年代ガレージ・バンドの雄スタンデルズのカバーですね)から最後の「アイ・キャント・ストップ」まで,だれることなく一気に聴かせてくれます。
ところで,曲によってはブラスが入りますが,このブラスがなんとルーモアのメンバーなんです。これはいわゆるパブ・ロックつながりってやつなんでしょうね(^^;)。カッコイイR&Rがお聴きになりたい方にお薦めの1枚です。
私的ベスト・トラックは,『Dirty Water』と『I Can't Sleep』そして『I Can't Stop』です。
The Very Best Of Spiral Starecase (1995)
Spiral Starecase
1969年に『More Today Than Yesterday』のヒット(全米12位)を放ったアメリカのバンドのベスト盤です。
彼等は,上記の曲以外1曲も全米Top40に入るヒットを持たない所謂一発屋のバンドですが,初期の2枚のシングルでゲイリー・アッシャーがプロデュースしたこともあって,ソフト・ロックのバンドとして近年再評価をされています。
サウンドはホーンをフューチャーしたメロディアスでポップなサウンドで,いかにもソフト・ロック・ファン好みのものです。しかしホーンをフューチャーしているにも拘わらず,何故かメンバーにはホーン・セクション担当がいないんですよね。これではライブの時に困ったでしょうに....(^^;)。
個人的にはこのバンドの一番の魅力はボーカルにあると思います。この手ののびやかな少年ヴォイスって大好きなんですよね。もっとも顔を見たらガッカリですが....(^^;)そう,このバンドの一番のマイナス面はルックスなんです。メンバー全員老け顔で,しかも服装が場末のキャバレー・バンドのようなユニフォームじゃ,たとえ曲が良くても一番のお客であるテイーン・エイジャーに受けるはずがありません。髪型も含めて,まったく,とても1960年代後半のロック・バンドとは思えませんね(^^;)
それでも,1960年代のPOP Musicが好きな人なら絶対に聴いて損はないアルバムであることだけは間違いありません。私的ベスト・トラックは,『Makin' My Mind Up』(タートルズのカバーですね)と『No One For Me To Turn To』そして『Sweet Little Thing』です。
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2001年09月08日 98.6 Best Of Keith (1996)
Keith
『98.6』のヒットで知られるキースの『98.6/Ain't Gonna Lie』(1966)と『Out Of Crack』(1967)の2枚のアルバムを1枚にまとめたアルバムです(これでBest Of〜ってのはどうかと思うんですが(^^;)。
ところで,キースですが,私はてっきりバンドかと思っていたらソロ・アーティストだったんですね(本名,ジェームス・バリー・キーファー)。う〜む,イチローみたなもんですかね?....って違うか....(^^;)
キースは,1970年代から1980年代にかけては完全に歴史の中に埋もれた存在でしたが,ソフト・ロック人気とともに再評価され,1996年になってようやくCD化されたのがこのアルバムです。
さて,肝心のサウンドの方ですが,ポップ職人ジェリー・ロスがプロデュースをしていることもあり,アルバム全体,いかにも1967年という感じの魅力的なポップ・サウンドであふれています。特に『Out Of Crack』収録曲は名曲揃いで,いやほんと,どの曲もシングルにしてもおかしくない曲ばかりです。キースの声もポップ向きの少年ヴォイスであるのが良いですね。キースはこの2枚のアルバム発表後はあまりぱっとせず,1974年にフランク・ザッパのレーベル(ディスクリート・レコード)からシングル盤を1枚出した以後はほとんど音楽シーンから消えてしまいました。CDの解説書にはザッパのバンドでボーカルをとったという記載がありますが,そういう事実を書いた資料は見たことがありませんね(^^;)
ところで,『98.6』は邦題も同じ『98.6』なんですが,これって「きゅうじゅうはってんろく」って読んでいいんでしょうか?.....ん〜,何か変ですよね(^^;)
私的ベスト・トラックは,『98.6』,『Candy Candy』そして『There's Always Tomorrow』です。
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2001年10月08日 Focus 3 (1972)
Focus
オランダ出身のプログレッシヴ・ロック・バンド,フォーカスの3rd Albumです。アナログ盤では2枚組として発売されていましたが,CDでは1枚にとなっているので,何だかお得な感じです(^^;)。
前作『Moving Waves』に収録されている『Focus Pocus(悪魔の呪文)』のヒットで日本でも一躍有名になった彼等の人気を決定づけたのがこのアルバムですが,私にとっては不朽の名作『Sylvia』が収録されているアルバムとしての認知度が高いですね。
中学生の頃,ラジオから流れてきた『Sylvia』を初めて聴いたとき,冗談でなく感動で震えがきてしまいました。すぐに街のレコード屋までシングル盤を買いに行ったのですが,「まだシングルは出ていないみたいだよ」の一言にがっかり,アルバムを買おうにも2枚組ですから,お小遣いの少ない中学生には到底手が出るわけもなく,結局そのままうやむやのままになってしまいました。
ようやく『Sylvia』の音源を手にしたのは,それから数年後,高校生になって来日記念の「ベスト盤」を入手したときのことです。
そのベスト盤には『Love Rememberd』『House Of The King』というえねま好みの曲が収録されていたのですが,その2曲とも実はこの『Focus 3 / Focus』に収録されている曲なんですね。
『Sylvia』を含むこれら3曲に共通するのは,いかにもヨーロッパらしいクラシカルで繊細なな美しさです。『Focus 3 / Focus』には『Answer? Questions! Questions? Answers!』のようなジャズ風味の長曲も収録されていて,これはこれで面白いのですが,えねま的には先にあげた3曲のようなクラシカルな小曲の方が好みですね余談ですが,この紙ジャケ・シリーズはアナログ盤をそのまま縮小した形となっていて(CD盤までアナログ盤のようになっている)なんとも可愛いんですよね(^_^)。
私的ベスト・トラックは,『Answer? Questions! Questions? Answers!』,『Anonymus』以外の全曲です(^^;)。
The More I See You...Call Me (1966)
Chris Montez
日本では『愛の聖書』のヒットで知られるクリス・モンテスがA&M移籍後の1966年に出した1st Albumです。
このアルバムに収録されている曲はアルバム・タイトルの『The More I See You』『Call Me』をはじめ『Fly Me To The Moon』『Day By Day』といったスタンダード・ナンバーが中心なのですが,プロデューサーがA&MのAであるところのハープ・アルパート(ちなみにMはジェリー・モスです)とトミー・リピューマであることからも予想がつくとおり,最初から最後までA&Mサウンド全開です。また,クリス・モンテスのソフトでハイトーンな歌声が,このA&Mサウンドにぴったりはまっているんですよね。
実はクリス・モンテスはA&M移籍以前にもポップなR&Rシンガーとして活躍し「Let's Dance」の大ヒットも放っていました(1962年全米4位,全英2位)。しかし,A&Mに移籍させるにあたって,ハープ・アルパートはクリス・モンテスにそれまでのポップなR&Rシンガーのイメージを捨てるよう要求したそうです。さすがはポップ職人のハープ・アルパート,先見の明があったということですね。
A&M移籍後は「Let's Dance」に匹敵するような大ヒットはないものの,素晴らしいポップ・シンガーとして活躍し,現在でもソフト・ロック系のリスナーの間では人気が高いようです。このアルバム,ロック的な物を求める方にはお薦めしません。しかし,1960年代ポップが好きな人なら絶対に聴く価値がありますね。きっと約28分間の至福の時を過ごすことができるでしょう。
私的ベスト・トラックは,『The More I See You』,『Fly Me To The Moon』そして『One Note Samba』です。
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2001年12月08日 Brian Wilson (1988)
Brian Wilson
1970年代から1980年代にかけて,ブライアン・ウィルソンはドラッグのためにほとんど廃人同様の生活を送っており,音楽シーンへの復帰はほぼ不可能であろうと思われていました(彼の自伝を読むと,それどころか,いつ訃報が届いても不思議ではない状態だったことがわかります)。
ところが1988年,ブライアン・ウィルソンはドラッグ地獄から奇跡的に生還し,1枚のソロ・アルバムを発表しました。それがこのアルバムです。
正直言って聴くまでは不安で仕方がありませんでした。アルバムを出したは良いけれど,まともに歌えているのだろうか?いや,どんな歌でもサウンドでも,こうしてアルバムを出しただけでも良しとしなければ....とさえ思ったものです。
しかし,それらの不安は1曲目の『Love And Mercy』のビーチボーイズ時代に勝るとも劣らないPOPなサウンドを聴いて一度にふっとんでしまいました。そして3曲目の『Melt Away』を聴いたときには,そのあまりの美しさに不覚にも涙がこぼれたものです。
「おかえりなさい,ブライアン・ウィルソン」さて,このCDは2000年に発売されたリイシュー盤ですが,Rhinoから出ているだけに音質は格段に向上しており,ブライアン・ウィルソン・サウンドのPOPな美しさがさらに輝きを増しています。それだけではなく,デモ・ヴァージョンを含めてなんと14曲ものボーナス・トラックが収録されているのです。さすがはRhinoですね(^_^)。
私的ベスト・トラックは,う〜む,どれも素晴らしいのだけれど,3曲選ぶとすれば『Love And Mercy』,『Melt Away』そして『Meet Me In My Dreams tonight』ですね。
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2001年12月18日 Echoes - The Best Of Pink Floyd (2001)
Pink Floyd
ピンク・フロイドの総括的ベスト盤って,驚いたことにこれが初めてなんですね。時代別のベスト盤的なものはありましたが,それはといていピンク・フロイドというバンドの実体を伝える代物ではなく,なんだかとても不自然な印象を受けるものでした。結局,Box Setでしかピンク・フロイドの総括はできないのかな?と思っていたところに発売されたこの2枚組ベスト盤ですが,これがなかなか良いんですよね。
正直言って,私にとってのピンク・フロイドは1975年の「炎(Wish You Are Here)」で終わっており,その後のピンク・フロイドにはほとんど興味がありません(とはいえ,来日したら見に行ってしまかもしれませんが(^^;)。しかし,このベスト盤に収録されている後期の曲も,初期の曲と同様極めて自然に何の抵抗もなく聴くことができたのです。
これはひとえに編集の上手さのなせる技ですね。ただ単に時系列に曲を並べたのではなく,曲と曲とのつなぎを良く考えたうえで曲とその順番を決め,しかもそれをシームレスにつなぐことによって,単なるベスト盤ではなく,まるで新しいアルバムのようになっているのです。一番古い曲が1967年,新しい曲が1994年と30年近い間隔があるののにもかかわらず,同じアルバムの中に収録されていても少しも違和感を感じさせないってのは,考えてみると凄いことですよね。私の一番好きなピンク・フロイド・ナンバーである『Echoes』は,エディット・ヴァージョンが収録されているのですが,これもまた編集が上手いために,少しも違和感を感じません。ちょっと聴いただけでは,どこをカットしたのかわからないくらいです。
しかしながら,個人的に一番嬉しいのはシド・バレット在籍時の曲が5曲も収録されているということです。彼がピンク・フロイドに在籍していたのは(レコード・デビュー後),1年あるかどうかというきわめて短い期間なのですが,それでもピンク・フロイドにとっては,彼がいまだに大きな存在であるということなんでしょうね。
ちなみにCD-1の1曲目の『Astronomy Domine』はシド・バレット在籍時のアルバム(デビュー盤)『夜明けの口笛吹き(Piper At the Gate Of Dawn)』の1曲目であり,そしてCD-2のラスト・ナンバー『Bike』もまた,『夜明けの口笛吹き(Piper At the Gate Of Dawn)』のラスト・ナンバーです。このあたりにも,何だかこだわりのようなものを感じますね。私的ベスト・トラックは,シド・バレットのことを歌った『Shine On You Crazy Diamond』と『Wish You were Here』といったら狙いすぎかな?(^^;)。
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