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2001年04月11日 No More Heros / Stranglers (1977)
Black And White / Stranglers (1978)
1970年代後半,私がリアルタイムで一番好きだったバンドがこのストラングラーズです。特に1979年の初来日ライブ(後楽園ホール)は,私にとって最も強烈なライブ体験の一つでした。
彼等は1977年にパンク・バンドとしてデビューしたのですが,パンクバンドとしては年齢が高く,サウンドの方もいわゆるパンク然としたものではなく,ドアーズを初めとした1960年代のバンドの影響を色濃く受けたものでした。
『No More Heros』は彼等の2枚目の『Black And White』は3枚目のアルバムで,いずれもストラングラーズの代表作とされる作品です(もっとも,これは日本だけの話で,本国イギリスにおいては,サウンドこそ変わってしまいましたが,ヒット曲を出し続ける息の長い人気バンドとして存続していました)。
『No More Heros』は彼等のアルバムとしては一番パンク的要素(性急な縦ノリのリズムと噛みつくようなボーカル)の強いアルバムといえるでしょう。とはいっても他のパンクバンドのような単純なものではなく,サウンド的にもかなり凝ったものとなっています。特にキーボードの存在がストラングラーズを他のパンク・バンドとの一線を画すものとしているのです(このキーボードがまたドアーズの影響が色濃いんですよね)。また,『School Mam』のような長くて構成の凝った曲からはプログレからの影響すら感じてしまいます。
『Black And White』のサウンドは前作に比べてさらに重く暗くなっています。レコードではA面が「ホワイト・サイド」,B面が「ブラック・サイド」と名付けられており,A面にはどちらかといえばポップでアップテンポの曲が多いのに対して,B面には非コマーシャルで実験的なサウンドが多く収録されていました。
当時はソリッドなサウンドのA面ばかりを聴いていたのですが,久しぶりに聴いてみると,B面に収録されていた曲がなかなか面白く聴けるんです。当時は『非コマーシャルで実験的なサウンド』だと思っていたものが,実はポップなサウンドだったんですよね。
個人的な話になりますが,私は当時ストラングラーズのジャン・ジャック・バーネルのクリス・スクワィア(イエス)を凶暴にしたようなガリゴリのベース・プレイに多大な影響を受けていました。実はステージ衣装も来日ライブの時と同じようなものを作ってしまったくらいです(^^;)。
私的ベスト・トラックは,『No More Heros』からはバンドでカバーしたこともある『Something Better Change』と,圧倒的な格好良さを持つアルバム1曲目の『I Feel Like A Wog』,『Black And White』からはライブのラスト・ナンバーだった『Toiler On The Sea』とタイトル通り聴く者をなぎ倒していくようなサウンドの『Tank』です。また,ボーナストラックの『Walk On By』(バート・バカラックのあの曲です)の途中の間奏部分が「ハートに火をつけて」風になっているのが,なんとなく笑えてカッコイイんですよね。
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2001年04月20日 Live Album(1970)
Grand Funk Railroad
グランド・ファンク・レイルロード(通称グラファン)はパンクである。久々にこのライブ盤を聴いてそう思いました。確かに1曲が不必要に長いとか,ダラダラとアドリブが繰り広げられるとか,非パンク的要素の方が多いけれど,この初期衝動に突き動かされたような直情的なサウンドは,まさにパンクそのものです。
同時代のハード・ロック・バンド,たとえばレッド・ツェッペリン,ディープ・パープル,ブラック・サバスといったバンドが現在においてもハード・ロック系のバンドに多くの影響を与え続けトリビュートされているのに比べると,グランド・ファンク・レイルロードに影響を受けたバンドなんて聞いたことがないし,近年,音楽雑誌等でもまったくといって良いほどとりあげられることがありません。近年再評価されたという話も聞かないしね。考えてみれば,私が現役ミュージシャンだった1970年代後半においてさえ,すでに過去のバンドだったような記憶があります。
確かに演奏は上手いとはいえないし(特にマーク・ファーナーのギター),サウンドがバラエティに富んでいるといわけでもありません。はっきり言って不器用なバンドです。しかし,今聴くとその不器用なサウンドが逆に新鮮に聞こえるんですよね。久しぶりにこのライブを聴いたとき,正直『カッコイイ!』と思っちゃいました。
特にメル・サッチャーのブンブン唸りをあげるベースが滅茶苦茶カッコイイ。特に最近はこういう歪んだ音でベースを弾く人がいないんで,よけいにそう感じるのかしれませんが....
私的ベスト・トラックは,定番ソングの『Heartbreaker』や『Inside Looking Out(孤独の叫び)』ももちろん好きなのですが,ここはアルバム1曲目で文句無しにカッコイイ『Are You Ready』とアルバムラストの『In To The Sun』を選んでおきましょう。
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2001年04月25日 Introspection(1968)
Faine Jade
中古盤380円均一セールの中からこの盤を見つけたとき,1960年代後期の臭い(それもサイケデリックの)がプンプンしてきたので,ものは試しと買ってみたら,実際に1968年に制作されたアルバムでした。肝心のサウンドの方も典型的ともいえるガレージ&サイケ・サウンドであり,久しぶりに掘り出し物に出会ったって感じですね。
演奏をしている Faine Jadeはまったく知らないミュージシャンなんですが,ガレージ&サイケとしてはレベルが高いですね。何よりもPOPなのが良い。もちろんPOPといってもいわゆるPOPSのそれとは少し違って,ピンク・フロイドの1stアルバムのようなPOP感覚を感じます。実際,キーボードがサウンドにおいて重要な役割を果たしている所や,POPでありながらなおかつアバンギャルドな部分を持ち合わせる所等,初期ピンク・フロイドとの共通点も多いですね。
音の方も1993年にデジタル・リマスターされており,非常にクリアーで聞き易いものとなっています。それゆえ逆に60年代ガレージ&サイケの持つ混沌さが薄れてしまっているのが寂しいと思う人もいるかもしれませんね。
ガレージ&サイケ及びポップ・サイケが好きな人ならぜひとも聴いて欲しいアルバムです。
私的ベスト・トラックは,ポップな『Dr. Paul Overture』とアコースティックな『Stand Together In The End』です。
ブレイヴ・コンボのええじゃないか(1991)
Brave Combo
アメリカはテキサスの無国籍音楽バンド,ブレイヴ・コンボが日本の誇るコンテンポラリー・ソングに挑戦したミニ・アルバムです(6曲入り)。『青い山脈(Blue Mountain)』『アキラのええじゃないか』『カスタネット・タンゴ』は服部良一の作品,『スキヤキ・トゥイスト』は『上を向いて歩こう』のトゥイスト・ヴァージョン,『ダイナ』はエノケン(エンケンじゃないよ(^^;)・ヴァージョン,そしてもう1曲は『スキヤキ・トゥイスト』のカラオケ・ヴァージョンとなっています。
歌詞もちゃんと日本語で歌われています(『青い山脈(Blue Mountain)』は日本語の他に英語とスペイン語で歌われているけれど)。
どの演奏も原曲通りに演奏したのものではなく,ポルカ,スカ,ファンク,ラテン等が入り交じったブレイヴ・コンボならではのサウンドとなっているのですが,中でも『アキラのええじゃないか』のええじゃないかとファンクが一体になったリズムは文句無しにカッコイイですね。
また,スカ&ファンクの『ダイナ』も酔っぱらったような歌い方が何とも笑えます。しかし,この歌詞は凄いよなぁ〜,さすがはサトーハチロー先生です。
私的ベスト・トラックは,どれも素晴らしいんですが,ここはエノケンに敬意を表しまして(^^;)『ダイナ』にしておきましょう。
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2001年05月11日 Panorama (1999)
New Leaf
昔,Carsのアルバムで同名タイトルのアルバムがありましたが,それとはまったく関係ないイギリスはスコットランド出身のバンドのアルバムです。実はこれも上記の2枚のアルバムと同じ380円で買ったCDなんですが,現在一番良く聴いているCDなんですよね。
何が良いってメロディーが素晴らしい。ビートルズをルーツとするブリティッシュ・ポップのバンドっとしては最近の若手の中ではトップ・クラスじゃないでしょうか。全曲POPな輝きに溢れているといっても過言ではありません。また,ボーカル(ちょっとエルビス・コステロの影響が強すぎるかな?という気がしないでもないですが),コーラスともにしっかりしているのが良いですね。もし,ライブでもこのとおりやっているのなら,これはぜひ見てみたいものです。
しかし,それに比べてルックスは....う〜む,これじゃぁ人気出ないだろうなぁ....(^^;)。これほどルックスとサウンドが相反するバンドもいないと思うぞ....そういう意味では,アソシエイションに似ているともいえるな(^^;)
私的ベスト・トラックは,サビのメロディーが印象的な『Rainbow』(いかにも60年代っぽいタイトルですね)と,メロディーの美しさが光る『Oceanicc』です。
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2001年05月14日 Live Ohio,U.S.A.1969
Simon & Garfunkel
1969年11月にオクスフォード大学で行われたライブを録音したものです。中にはきちんと日本語の解説書まで入っていますが,しかしこれは所謂ブート(海賊盤)でしょう(^^;)。
音質は極めてクリアーなので,おそらくライン録音されたものだと思います。
演奏はサイモン&ガーファンクルの二人だけでなく,ドラムにハル・ブレイン,ベースにジョー・オズボーン,キーボードにラリー・ネクテルといった超一流のスタジオ・ミュージシャン達がバックをつとめています。
個人的にはライブにおいてスタジオ盤と同じラリー・ネクテルのピアノによる『明日に架ける橋』が聴けたのが嬉しいですね。この頃はまだレコードは発売されていないにもかかわらず,曲が終わったときの観客の反応は大きなものがありました。そりゃそうだろうな,生で聴いたら絶対に感動しないわけないもんな....それを思うとうらやましくてしかたありませんね。
他にも『ミセス・ロビンソン』『サウンド・オブ・サイレンス』『ボクサー』『早く家に帰りたい』といった彼等の代表曲が演奏されています。
考えてみれば,彼等の全盛期のライブ盤ってオフィシャルで発売されていないのですが,これは不思議ですよね。捜せばこのCDのような音源がいくつもあるはずなのだから,それらを発掘し,きちんと音質を調整して発売して欲しいものですね。
そんな箱が出たら絶対に買うんだけれどなぁ....
私的ベスト・トラックは,私にとってのS&Gベスト・ソングでもある『So Long, Frank LLoyd Write』と『明日に架ける橋』です。
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2001年06月30日 Stoned Immaculate - The Music of The Doors(2000)
V.A.
ありそうでなかったのが,ドアーズのトリビュート・アルバムですが(あるのかもしれないけれど,私は見たことがありませんでした(^^;),去年決定版ともいえるトリビュート盤が発売されました。それがこのアルバムです。
ミュージシャンもJohn Lee Hooker(つい最近亡くなりましたね,合掌),Bo Diddleyといった大御所から,Aerosmithのようなベテラン勢,そしてStone Temple Pilots,Creedといった若手の人気バンドまでと豪華にして色とりどりな面々が参加していますが,それ以上に素晴らしいのがそのサウンドです。
ドアーズ・ファンとしてはかなり熱狂的な部類に入る私が聞いても納得がいくものばかりですね。特にStone Temple Pilots,Creedといった若手のバンドによるカヴァーは,原曲に忠実でありながら,ドアーズのサウンドに若々しい息吹をそそぎ込んでいます。どちらともドアーズのメンバー(Robby Krieger, Ray Manzarek)が参加しているのですが,彼等のプレイもまた若々しく感じられますね。
Aerosmithによる『 Love Me Two Times』のカヴァーはあまりにも填りすぎてかえって面白味に欠けるような気すらしてしまいます。ドアーズは彼等がティーンエイジャーの頃のアイドルだったんでしょうね。
故John Lee Hookerが参加している『Roadhouse Blues』はJim Morrisonのボーカルの上にJohn Lee Hookerの語りを重ねたものですが,さすがはJohn Lee Hooker,声だけでも凄まじい存在感を醸し出していますね。
また,これらのカヴァーの他にドアーズ名義の曲が2曲(『 Under Waterfall』『The Cosmic Movie』)収録されているのですが,いずれも既発表曲にリミックスを施したものながら,その出来はかなり良いですね。最近のバンドの曲だといっても不自然ではないくらいに新しい音となっています。
このトリビュート盤では,若手のバンドのボーカルのほとんどがジム・モリソンになりきったような歌い方をしているんですが,これは少しも不快ではありませんね。皆嬉々としてジム・モリソンになりきって歌っている様子がうかがえて,これは微笑ましい気すらしてしまいます。
私的ベスト・トラックは,Stone Temple Pilotsの『Break On Through』とCreedの『Riders On The Storm』です。
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2001年07月19日 Bright Midnight - Live In America(2001)
Doors
前回はドアーズのトリビュート盤でしたが,今回はドアーズのライヴ盤,それも未発表モノばかりのファンにとっては涎モノの逸品です。
元々はドアーズのオリジナル・レーベルから発売されていたものですが,今回古巣のElectraから発売されることとなり,こうして日本国内の輸入盤店でも気軽に(値段も含めて)買えるようになったのは嬉しいことですね。ファンならば通販だろうがなんだろうが買うべきだ!とおっしゃる方がいらっしゃるかもしれませんが,それは正論です。しかし,残念ながら私はクレジット・カードを持ってないので,海外の通販ができないですよね(^^;)。
それはさておき,このライヴ盤ですが,素晴らしいの一言です。どうしてこれだけの音源が今まで(正規盤として)この世に出てこなかったのか不思議でなりません。
収録されている13曲(これもドアーズらしい数字ですね(^^;)は,いずれも1969年7月から1970年10月にかけてアメリカ国内でのライヴから録音されたものです。
ドアーズ関連の資料では,この時期のジム・モリソンはすでに酒でボロボロの状態で,ステージではろくに歌えないことが多かったと書かれている物を良く目にしますが,いやはやとんでもありません,少なくともこのライヴ盤におけるジム・モリソンは鬼気迫るほどに素晴らしいボーカルを聴かせてくれます。
確かに上手い下手で区別すれば,ジム・モリソンは決して上手いボーカリストではありません。しかし,ロビー・クリューガー,ジョン・デンズモア,レイ・マンザレクの3人の演奏をバックにして歌うとき,その声は聴く者の心を掴んではなさない魅力(魔力?)を持つのです。
そして,このライヴ盤はその魅力(魔力)で満ちあふれているのです。
しかも驚くべきことに,このライヴ盤はこれから発売される予定の様々なライヴ(Bright Midnight Series)のサンプル盤にすぎないというではないですか!
いやもう,どうしましょ....ファンとしては嬉しい悲鳴ですね(財布も悲鳴をあげそうだが....(^^;)。
しかし,どうして1969年から1970年にかけてのライヴなのに,1967年頃のジム・モリソンの写真をジャケットに使うんでしょうね?(^^;)。まぁ,確かに1970年前後のジム・モリソンは,1967年頃のような女の子受けするようなルックスではなくなっていますが,それでも,1969年頃のヒゲをはやしている姿はとてもカッコイイと思うんですが....
私的ベスト・トラックは,後期のライヴでも演奏していたとは知らなかった『Crystal Ship』と,16分以上にも及ぶ定番中の定番『The End』です
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2001年07月25日 Live At Hollywood Bowl(1982)
Monty Python
この作品は,コメディ界のビートルズといわれるモンティ・パイソンが,1980年9月にアメリカのハリウッドで行った公演を収録したもので,モンティ・パイソンにとっては6人のメンバーが揃ったステージとしては唯一の作品となるものです。
モンティ・パイソンはコメディ集団ですから,コントが主体なのは当然として,その他にも歌や踊りは当然として,映像までも駆使した,後のマルチ・メディアを先取りしたようなステージを繰り広げています。
コントはTV番組でお馴染みのものが多いのですが(「シリー・ウォーク」「おかまの裁判官」「教会警察」「ランバー・ジャック」etc),TV番組以上にテンションの高い演技のため,何度も観たネタにも関わらず大笑いさせられてしまいます。
個人的には大男のジョン・クリーズが売り子(女性)の格好をして客席で『あほうどり』を売る「インターミッション」,芸術からローマ法王までおちょくった「ミケランジェロとローマ法王」,真面目であるが故に抱腹絶倒の「公開講座:悪戯の進化をめぐる歴史的考察」が好きですね。
音楽的な面では,元ボンゾ・ドッグ・ドゥー・ダー・バンドで,後にラトルズの主要メンバーとして活躍するニール・イネスが準メンバーとして参加していますが,中でもバンジョー1本で歌われる『アイム・ジ・アーバン・スペースマン』とピアノの弾き語りで歌われる「イディオット・ソング」は,音楽ファン必見です。
音楽といえば,オープニングの『シット・オン・マイ・フェイス』は『69』を歌ったお下劣きわまりない歌詞の歌ですが,それを歌い終わったウエイター姿の4人が後ろを向くと,全員お尻丸出しというのもなかなり強烈ですね。
そのウェイター4人組の一人がテリー・ギリアムなのですが,彼はこのステージにおいて,チョコレートのゲロを吐いたり,羽虫男になって内蔵をぶちまけたりと,専らお下劣担当となっています。この映像を見る限りでは,誰が後に有名な映画監督になるだなんて想像できるでしょうか?(^^;)。
最後は定番中の定番「ランバー・ジャック・ソング」でフィナーレとなるのですが,エンド・マークの後にスクリーンに「早く帰れ!」と映し出すのが,いかにもモンティ・パイソンらしくて良いですね。
しかし,こんなアブナイねたを国営放送で放送しちゃうなんて,イギリスぐらいのもんでしょうね(^^;)
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