目次に戻る MUSICに戻る
2001年01月20日 Piano Nighty / 矢野顕子(1995)矢野顕子がピアノの弾き語り歌った曲を収録したアルバムです。うち自作曲は2曲のみで,それ以外はカヴァー曲です(ところで「椰子の実」ってカヴァー曲になるのかな?(^^;)。とはいえ,彼女の場合何を歌っても『矢野顕子の歌』になっちゃうんですけれどね。
それにしても,矢野顕子の大地のような母性を感じさせる歌声って良いですねぇ。伴奏は彼女自身が弾くピアノだけなのですが(これがまた良い),それだけで十分過ぎるくらいです。
個人的には最近の女性シンガー(特に小室系の)やたら高音を強調した歌い方が苦手でして....いや高いキーが苦手というわけではなくて,彼女たちの無理矢理高い声を出している姿が痛々しいのと,歌い方から何の情感も感じられないところがどうにも嫌なんですよね。高音でもケイト・ブッシュのような歌い方なら大好きなんですがねぇ....
私的ベスト・トラックはラスト・ナンバーの「New Song」。
The Big Idea / Dave Stewart & Barbara Gaskin(1990)最近日本でも良く見かける作曲家(兼プレイヤー)と女性シンガーによるユニットです。(Dave Stewartはユーリズミックスの彼ではなく,プログレ出身の別人です)
彼等の作り出すサウンドは,やや陰影のあるエレクトリック・ポップって感じでしょうか。打ち込み主体のサウンドであるにも関わらず,Barbara Gaskinのボーカルのおかげでサウンド全体に暖かみが感じられます。
私的ベスト・トラックは2曲目の「My Scene」(1960年代後期のサイケデリック・ギグについて歌われたものらしい)。
Best One / Louis Armstrong(1986)サッチモことLouis Armstrongのボーカル・ナンバーだけを収録したベスト盤です。彼のジャズ・プレイヤー(トランペット)としての全盛期は第2次世界大戦以前らしいのですが,戦後(1950年代以後)のポピュラー・ボーカリストとしてのサッチモもまた魅力的な存在だと思います。個人的にはこちらの方が好きですね。
CMでも使われた「この素晴らしき世界」を聴いてもわかるように,彼の歌声は決して美声ではない....はっきり言って悪声なのですが,これがなんとも心が温かくなる歌声なんですよね。
私的ベスト・トラックは2曲,「この素晴らしき世界」と1964年に全米1位になった「ハロー・ドーリー」(ちなみにこの曲の前に全米1位だったのはビートルズの「キャント・バイ・ミー・ラブ」)。
Vienna Concert / Keith Jarrett(1992)Keith Jarrettが1991年にウイーン国立歌劇場で行ったピアノ・ソロ・コンサートを収録したものです。というわけで収録されているのは「Vienna part1」(41:53),「Vienna part2」(26:03)の2曲のみです。
Keith Jarrettのピアノ・ソロといえば「ケルン・コンサート」が有名ですが(もちろん個人的にはこっちの方が好きなんですが),このウイーン・コンサートも聴いていて気持ちが良いですね。いやほんとどうしてKeith Jarrettのピアノの音ってこんなに美しいんでしょう?
目次に戻る MUSICに戻る
2001年02月20日 International(1978)
Cafe Jacques
Cafe Jacqusにとって2作目にしてラストとなったこのアルバムは,名盤の誉れが高いにも関わらず,何故か今までCD化されてなかったんですよね(1stはCD化されていたのに)。発売当時はフィル・コリンズがゲスト参加していることもあってプログレ・ファンの間で評判になり,私もそのルートで彼等を知りアルバムを買いました(ジャケットもなんだかアートっぽくて格好良かったしね)。その時の印象はプログレ風味のカッコいいポップって感じでしたね。
久しぶりに聴いたら,やっぱり同じ印象を受けました。まさにアルバム・タイトル通りの【internationalなサウンド】ですね。例えるとすればテクニカルな10CCってところでしょうか(別に10ccがテクニックのないバンドだというわけではありませんからね(^^;)....ちなみに解説には『スコットランドのスティーリー・ダン』って書かれてましたが....あ,おしゃれなイアン・デューリー&ブロックヘッズってのも良いかも(^^;)
シングル・カットとなった『Boulevard of Broken Dream』はポップなメロディーを持った曲なのですが,ジェネシスを彷彿とさせるようなシンセの音が,なんともプログレな香りがしてたまりませんね。いやほんと名曲ですよ,これ。
プロデューサーはハワード・ジョーンズ,フィックス,アンソニー・フィリップス等のプロデュースもしているルパート・ハインなので,いかにも彼らしい空間処理の気持ち良いサウンドとなっています。
しかし,時代が悪かった。このアルバムが出た1978年はまさにパンクな時代なだけに,善し悪しに関わらずこの手のサウンドじゃ売れないですよね。解説にも書いてありましたが,あと5年遅く発売されていれば,一般的な評価ももっと高かったに違いありません。
私的ベスト・トラックは,『Boulevard of Broken Dream』は当然として,あと2曲,アルバムで唯一punk/new waveな香りのする『This way Up』とリード・ギターもカッコいいアップテンポの『International』です。
目次に戻る MUSICに戻る
2001年02月25日 The Best Of Musikladen Live - T.Rex / Roxy Musicこれはドイツで放送されたTV番組『Beat-Club』『Music Laden』に残された映像を元に編集されたシリーズの内のT.RexとRoxy Muscの映像を収録したDVDです。
ここに収録されている映像の内,T.Rexについては半分以上の映像はすでに別のソフトで見たことがあるのですが,Roxy Musicについては1曲(『Do The Strand』)を除いては初めて見る映像です。
T.Rexは5曲収録されているのですが,5曲目の『20th Century Boy』を除く4曲はおそらく1971年の映像だと思われます。グラム・ロックといいながら,この頃のマーク・ボランはまだメイクしてなかったんですね。でも,それだけにこの頃のマーク・ボランが掛け値なしの美少年であったことが良くわかります(いや,別に私にその気はないんですけれどね(^^;)
また,『Ride a white Swan』と『Jewel』はドラムレスで演奏されているのですが,これらのサウンドを聴くと,まだこの頃はアンダー・グラウンドの香りが色濃く残っているのがわかり,実に興味深いですね。ただ,映像処理がこの時代らしくいじり過ぎでウルサイのが難点ですけど....
しかし,やはり面白いのはやっぱりRoxy Musicの方ですね。なんたって,あのイーノさん在籍時のライブ映像(『All I Want is you』を除く)なんですから,これは貴重です。現在の環境音楽家としてのブライアン・イーノやプロデューサーとしてのブライアン・イーノしか知らない人がこの当時のイーノさんの姿を見たら仰天しちゃうでしょうね。派手なメイクに羽根付きスパンコール付きのギンギラ衣装を身をまとったイーノさんの姿は,一言『妖しい』につきます。あまりに目立ちすぎるんでブライアン・フェリーが首にしたという噂も信じちゃいそうです(^^;)。
そのフェリーさんですが,彼もオール・バックのヘア・スタイルに白の上下のスーツと,これまた『怪しい』ですね。しかし,歌い方と振り付けはこの当時すでにほとんど完成されていたのがわかります。また珍しいのが,『In every Dream Home a Heartache』で見せるギターを持って歌う姿です。プロモーションの写真では見たことがあるのですが,ステージの上でギターを持っている姿を見るのはこれが初めてです。もっとも,ほんのちょっとコードを弾くだけなんですけれどね....
この時代のRoxy Musicの演奏はお世辞にも上手いとは言えません。しかしそのステージは他に類を見ないくらいに魅力的なものなんですよね(『いかがわしい中に妖しげな魅力がある』って感じでしょうか....)。イーノさん脱退後のベースがジョン・ウェットン,キーボードがエディ・ジョブスンというプログレ組が加入している時代の演奏(『All I Want is you』)の方がテクニック的には遙かに上なんですが,やはりイーノ在籍時のライブの方が奇妙なパワーを感じるんです。
目次に戻る MUSICに戻る
2001年02月27日 Choir Practice(1994)
Choir
1960年代中期から後期にかけてのいわゆるガレージ・ロックのコンピレーションとして有名な「ペブルス」というシリーズがありますが,そこに収録されながらもあまりのPOPさ故に他からすっかり浮いているバンドがあるのですが,それがこのChoirです。もっとも,このバンドのメンバーが後にエリック・カルメンと組んでラズベリーズを結成するですから,POPなのも当たり前といえば当たり前なのかもしれません。
このアルバムは1966年から1969年にかけて出したシングル盤や,未発表音源及びデモ・ヴァージョンを収録したものですがPOPな良い曲が多いですね。
その中で,1967年に出したシングル『It's Cold Outside』はオハイオのローカル・チャートで1位となるも,全米チャートでは60台に終わっています。しかし,この曲,なんと日本でも発売されていたのです。ヒットしたかどうかはわかりませんが,日本人好みのpopなメロディを持つ曲であることは間違いありませんね。
その他の自作曲もビートルズ等のいわゆるリバプール・サウンズに影響を受けたPOPなものばかりで,ガレージ系のバンドの中ではトップ・クラスのメロディを持っていると言っても過言ではありません。もちろん,時代が時代ですから,『Dream's of One's Life』のようなサイケな曲もあります。
また,カヴァー曲としてゾンビーズの『Leave Me Be』と,キンクスの『David Watts』も収録されています。
Choirというだけあって,ジャケットでは聖歌隊みたいなコスチュームで写っているのですが,実際にステージでもこの格好をしていたようですね(^^;)。
私的ベスト・トラックは,『It's Cold Outside』と,ゾンビーズが演ってもおかしくないwetなメロディを持つ『Anyway I Can』です。
Rutland Weekend Songbook (1976)
Eric Idle & Neil Innes
エリック・アイドルとニール・イネスが『モンティ・パイソン』終了後に作った番組『ラトランド・ウィーク・エンド』という番組で使用された曲を収録したアルバムです。そしてこの番組が重要なのは,あのビートルズ・パロディの最高傑作であるラトルズが,この番組から生まれたということです(『ラトルズ/4人もアイドル』はDVDで出てますので,まだ見てない人は絶対に見ること)。このアルバムにもラトルズのアルバムにも収録されている『I Must Be In Love』が収録されています(「ラトランド出身のファブ・フォー」と紹介されて登場)。
その他にもフーの秀逸なパロディである『Concrete Jungle Boy』や,正面開閉式洗濯機について歌った『Front Loader』,レーニンが歌う『Communist Cooking』,プロテスト・ソングのパロディである『Protest Song』(そのままじゃん(^^;),サッカー・ファンを痛烈におちょくった『Football』等々抱腹絶倒の曲が多数収録されています(もっとも,私の場合対訳無しにはわからないものがほとんどなんですけれどね(^^;)。
肝心のサウンドの方はラトルズやボンゾ・ドッグ・ドゥー・ダー・バンドの中心人物であるニール・イネスが中心となって作っているのですから,悪いはずがありません。パロディであっても,音楽的には非常にレベルの高いものとなってます。ラウンジ・ミュージック風なものからフォーク,R&R等多彩な音楽を楽しむことができるアルバムですね。
私的ベスト・トラックは,『Concrete Jungle Boy』と会計士の歌う『会計士のシャンティ』です。
目次に戻る MUSICに戻る
2001年03月09日 Best of The Box Tops - Soul Deep(1999)
Box Tops
『The Lettr(邦題「あの娘のレター」)』の大ヒットと,Alex Chiltonが在籍し,Dan Pennがプロデュースしていたことでも(一部の人に)知られるバンドのベスト盤です。特に『The Lettr(邦題「あの娘のレター」)』は1967年に全米1位となり,またJoe Cockerをはじめとする多くのミュージシャンにカヴァーされている名曲です。この曲が出たとき,Alex Chiltonは,まだ16歳だったらしいのですが,声だけ聴くと,とてもそうは思えませんね。どう聴いても,もっとおっさんのようにしか思えません(^^;)
全体的には軽めのR&Bといった曲が多いのですが,『Neon Rainbow』のようなソフト・サイケ調の曲(タイトルからしていかにもですもんね(^^;)もあるのが,1967年という時代を感じさせますね。
収録されているのは1967年の『The Lettr/Neon Rainbow』から1969年の『Demensions』までの曲ですが,『Demensions』以外はDan Pennのプロデュースによるものです。ちなみに副題の『Soul Deep』は『Demensions』に収録されている曲のタイトルです。また,1969年の曲の中にはAlex Chiltonの自作曲も4曲収録されています。
Alex Chilton自身は,ポップにさせようとするレコード会社からの軋轢等から,Box Topsというバンドはあまり好きではなかったようですが,『The Lettr(邦題「あの娘のレター」)』1曲だけでもBox Tops は1960年代ポップ界に名前が残るバンドだと思います。
私的ベスト・トラックは,やはりこれははずせない『The Letter』と,ソフト・サイケ的な『Neon Rainbow』です。
目次に戻る MUSICに戻る
2001年03月22日 A Long Vacation
大瀧詠一 (1981)
このアルバムが売れに売れた1981年当時,私はあえて意識的に聴こうとはしませんでした。何故かといえば,それはやっぱり売れたからでしょうね。また,ジャケットもいけなかった。なんだかトロピカルなリゾートって感じのイメージのイラストが売れないバンドマン(一応学生でもあったけれど)だった私にとっては無性に腹のたつものだったのですね。
それでは,何故今頃になって買ったのかといえば,『レコード・コレクターズ』誌の4月号で特集されていたからです。これを見て一度きちんと聴いてみなければいけないと思い,『CD選書』として1500円で出ていたものを購入したというわけです。(近々2001年リミックス盤も出るらしいですね)
さて,きちんと聴いてみると,いや恐れ入りました。ここまで完璧なPOPアルバムだとは思いませんでした。音の一つ一つがじっくりと練り上げられた極上のサウンドです。しかし,本当に良い音だなぁ....
POPのもっとも美味しいところをギュッと凝縮したようなメロディももちろん良いのですが,詩(松本隆)がきちんとメロディに乗っているところが何とも気持ちが良いですね。
ふと思ったんですが,大瀧詠一のボーカルって,どことなくニルソンに似ているとは思いませんか?特に『スピーチ・バルーン』でそれを感じました。
これは間違いなく日本が生んだ最高のPOPの1枚ですね。
私的ベスト・トラックは,大ヒット曲『君は天然色』,霧の中の『さらばシベリア鉄道』,そして海辺少年な『FUN×4』です。
目次に戻る MUSICに戻る